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黒鯛工房

黒鯛工房CUP
ヘチ釣り選手権in横浜 高橋利武さん優勝
横浜港沖堤を望む

黒鯛工房CUP 第2回ヘチ釣り選手権が、9月5日(木)ヘチ釣りの発祥の地ともいうべき神奈川県横浜市の横浜港沖堤で開催された。場所がら東京都と神奈川県在住者が多かったが、北は福島県小名浜港の釣りクラブのメンバーたち、西は静岡県清水港から愛知県や大阪府からも多くの参加者を迎え、総勢121名の精鋭によって大会が繰り広げられた。参加者はすべてヘチ釣りに通いつめている強者ばかり。名実とものに最強ヘチ釣り師を決める大会である。
参加者集合
いざ釣り場へ


一番人気の堤防は前日までの釣況通り「赤灯」

大会会場のなった横浜港の沖堤は10カ所。受付時に希望の場所が順に決められ、その釣り場ごとに設けた人数がいっぱいになりしだい、希望とは違う場所に渡船することになった。午前5時出船。鈴木釣船店、渡辺釣船店、山本釣船店の渡船に分乗し、それぞれの堤防を目指す。今回、釣り場として使用された沖堤は、旧白灯台、旧赤灯台、10メートル、四畳半、テトラ、白灯、赤灯、ハナレ、D堤、第1新堤である。その中での一番の人気は、赤灯。前日までの情報でここが一番釣れていたことをみんながつかんでいたのだ。  そして午前5時30分、競技がスタート。この日の潮止まりは午前9時半。前日までの状況から、この潮止まりまでにバタバタと釣れて勝負がつくのでは、というのがおおかたの予想としてあった。実際、赤灯では競技開始直後から何尾か上がったという情報が、携帯電話を通じて、他の堤防に上がった選手にも伝わっていた。4位に入った加藤義晴さんは、スタート直後に釣れた43cmで4位に入っている。その他、勝負を決める大きさのものは上がっていないが、何尾も上がっていることから、場所替わりの9時の移動時には一番人気で、一番混み合った堤防となった。

朝焼けのスタート
赤灯


優勝した高橋利武さんのハナレでの釣り

そんななか横須賀新堤をホームグラウンドとしている高橋利武さんは、ふだん自分が好んで釣る、足場が低く、満潮時には堤防上に潮が洗うような釣り場がいいとハナレを選択。「最初は潮が高すぎたこととタグボートの波で釣りたい場所に入れなかったことや、潮がちょっと効きすぎていたことで、まったくアタリを得ることができなかったですね」と言っていたが、潮が落ちて堤防上を歩き回れるようになった7時30分頃、「4号のハリにフジツボエサで釣ってたんですが、反応がよくなかったことで、5号バリにエサはミドリ貝に替え、オモリも2Bまで重くしてやったら反応がよくって、大きいのを一発バラシちゃったんですよ」しかし、8時に38.6cm、8時半に36.8cmと2匹釣り上げることができた。「このときは潮流にメリハリがありましたね」と言っている。やはり潮の動きは釣果に大きく作用するのだ。 その後、さらに期待が持てると考えたそうで、9時の移動ではそのままハナレに残り釣り続けたが、潮が動ききらずそのままの釣果で終わってしまった。

ハナレで釣る高橋さん
優勝した高橋さん


横浜港白灯
横浜港がホームグラウンドという松田竜也さんが2位に

また、横浜港の沖堤に小学生から乗ってヘチ釣りをしているという松田竜也さんは、現在でも月に7日はここで釣りをしているという、名実ともにこの場所をホームグラウンドをしているアングラーである。横浜港の数ある沖堤の中で、彼が今「一番好きだ」というのが白灯。「白灯は足場が低く満潮だと潮が上に上がってきてしまうほどなのですが、そのぶんいろいろな釣り方が試せるのがいいんです」と当然のように白灯を選択した。もちろん、ここのところの釣況も踏まえての選択だった。 彼の1尾目は7時頃、グリーンのツブ貝を使って1.5ヒロほどの水深で。また、2尾目は9時近くに1ヒロほどの水深で、派手に引ったくるようなアタリだったという。彼はこの場所の魚の活性がかなり高いとみて、「粘ればもっと釣れるかなという思いで」9時の移動時までの釣果で勝負はほとんど決まりかけていた。あれだけ釣れていて、9時の移動で赤灯を目指した人も多かったがダメ。

 

名古屋の島田さん
終了間際の釣果で3位入賞と大物賞をゲットしたのは、
名古屋から参加の島田博司さん

どの釣り場もまったくアタリがナシ、という人がほとんどで、みんなあきらめかけていた終了近くなった11時40分頃、D堤のセル石で釣っていた島田博司さんに、この日最大の45.2cmが上がる。D堤で釣っていたほとんどの人がアタリもなかったというなか、起死回生の1尾だったと言ってよいだろう。 島田さんは「この魚を上げる前まではフジツボで1回アタリがあったんですが、それだけ。ミドリ貝を用意してきていたのですが、大きいのしか持ってきてなく、仲間から小さいのを3個もらって2号バリが隠れるようにセットして1発目で釣れました」ということである。島田さんのホームグラウンドは名古屋港。ほとんど足場の高い場所が多く、この横浜港でも慣れ親しんだフィールドに近い場所ということでD堤を選択したという。



前日までの釣況に沿った結果は出たが、島田さんをはじめ、高橋さんや松田さんにしても、“自分が釣り慣れた場所に近い釣り場、イコール自分の釣りができる”ことが結果、勝敗を決めた形となったようである。


<この結果、成績は以下の通り>
 Tag & Release 賞
1位 高橋利武 黒鯛工房フィールドテスター 2 総長75.4cm
(38.6cm、36.8cm)
2位 松田竜也 (横浜黒鈴釣友会) 2 総長72.3cm
(37.3cm、35.0cm)
3位 島田博司 (苦労鯛クラブ) 1 総長45.2cm
4位 加藤義晴 黒鯛工房フィールドテスター 1 総長43cm
5位 梅津省吾 (野島防波堤海津クラブ) 1 総長41.8cm
6位 計良雅司   1 総長39.8cm
7位 安川文康 1 総長39.6cm
8位 飯田純男 (横浜黒鈴釣友会) 1 総長39.1cm
9位 松沢慶太 (木更津黒友会) 1 総長36.2cm
10位 品田祐一 (関東マルタ会) 1 総長36.2cm
 大物賞  島田博司  45.2cm
<優勝した高橋さんのタックル>
 竿:黒鯛工房 黒鯛師 THEヘチリミテッド88-B
 リール:黒鯛工房 黒鯛師 THEヘチフカセ ベイヨコハマ275
 ミチ糸:2.5号蛍光ライン
 ハリス:1.5号(長さは矢引)  ハリ:チヌバリ4号、5号
 ガン玉:ナシ~2B

■タグ&リリースの普及とその重要性がゲームフィッシングを育てる
昨年から始められたこの大会は、黒鯛のヘチ釣りでは過去に例のない“タグ&リリース”が行われたことで、業界をはじめ多く釣り人たちから注目を集めた。その後、各地の釣り大会でタグ&リリースが採用され、ゲームフィッシングとして認知されつつある。
現在、放流事業も盛んに行われていることもあり、少しずつ魚影が戻りつつある。しかし、今までのように「釣ったら持って帰る」ことを繰り返すことは、限りある黒鯛という資源が枯渇してしまうことを多くの釣り人が感じ始めているのだ。だからこそ、ヘチ釣りという釣りが、ゲームとしての釣りという認識のもと、タグ&リリースが普及してきたのだろう。まだタグ付きの黒鯛が上がった報告は、東京湾の中だけで20~30例しかつかめていないが、黒鯛が東京湾の中でどのような移動を繰り返しているのか、また成長の具合はどうかなど、将来、多くの事柄が解明されていくことだろう。