黒鯛釣り専用のリール、ロッド、用品の企画製造の黒鯛工房

黒鯛工房

第1回ヘチ釣り選手権in野島(タグ&リリース)無事終了しました。参加いただいた黒鯛師の皆様、運営にご協力いただいた関係各位の皆様に心より感謝申し上げます。
また、多くの黒鯛師の皆様がタグ&リリースや稚魚放流へ積極的にご協力いただき、弊社が考えるよりも既に大きな意識改革が始まっていること大変驚きました。タグ&リリースや稚魚放流が、黒鯛師のスタンダードスタイルとして定着する日も近いのではないでしょうか。
_________________ 黒鯛工房スタッフより

黒鯛工房CAP 第1回ヘチ釣り選手権が、9月6日(木)ヘチ釣りの発祥の地ともいうべき神奈川県横浜市金沢八景の野島堤防で開催された。
参加者は104名、2人一組のチーム戦なので、52チームによって大会が繰り広げられた。名古屋から2チームの参加があったが、他の参加者はすべて東京湾のヘチ釣りに通いつめている強者ばかり。名実とものに最強ヘチ釣り師を決める大会であった。
東京湾でヘチ釣りというと、この野島堤防の他に、木更津堤防、横浜港、川崎、新堤、久里浜堤防といった場所がよく知られているが、実際、釣り場の数は多いとは言えない。そのうえ、限られた人だけに楽しまれているのも事実だ。
そこで今大会は、黒鯛師の交流をはかりながら、東京湾の伝統釣法であるこのヘチ釣りを継承していくための礎にしたいという多くのヘチ釣り師の思いを実現したものでもある。
また、黒鯛という資源も東京湾では確実に減る傾向にあり、それをくい止めるために稚魚放流をしているのだという意識付けや、黒鯛の生態が詳しく解明するためにタグ&リリースを普及させるためのものでもあった。1年間に200件以上も釣り大会が各地で開催されていて、エサ釣りでタグ&リリースが行われたのは今大会が初めてである。
午前5時出船。2隻の村本海事の船が野島堤防を目指す。ドック堤、青灯、別荘、新堤、赤灯と、船はポイントに次々と選手たちを降ろしていく。降りる場所は自由なので、他の釣り人たちの動きなどを見ながら釣り場を決めていく。
3匹という釣果がこの日の状況を象徴した?
5時40分、船の汽笛の合図で競技がスタート。この日の満潮は午前6時半ころ。釣り始めの時間帯は、低い場所ではたっぷりと潮が洗い、まったく堤防が姿を表していない場所も多かった。そのうえ、北東の風が吹き、風波が立つというコンディション。空もどんよりと曇り、まさにヘチ釣り日和という感じで多くの釣果を期待できるのでは、という日だった。
ちなみに優勝した鶴見黒研有志チームの赤松和則さんは、「最初、中廊下に入ろうと思ったのですが、ちょっと人が多かったので、空いていた隣のドック先に入ることにしました」と語っている。結果、彼は優勝魚を手にすることとなったので、まさに作戦勝ちと言えるだろう。

ところが競技が始まっても大会本部になかなか釣れた情報が入ってこない。一見、釣れそうな状況下でみんな首を傾げて釣っている。730分、そんななか中廊下で釣っていた前出の赤松和則さん47.1cmがヒット。同じ頃、青灯と別荘の中間点あたりで釣っていたウメタロウの久永廣太郎さ んに42.7cmがヒット。みな食いが立ってきたのではと気色ばみ、いきおいミチイ トを見つめる目が輝き出す。しかし、そのあとが続かない。
9時に船が来て、場所を変えたい選手たちはこれに乗り場所移動。その後、潮 位が下がり出し、今まで入れなかったポイントも釣り場となり、俄然、釣果が期 待された。ドック堤に入った選手たちの中には、潮位が下がることで姿を表した 丸カンに腰まで海に入って渡る姿も見られた。だが、アタリがあったという声は 聞かれなかった。
まもなく終わりという11時20分頃、馬の背に渡りカーブ付近で釣っていた海津 Bチームの小野寺雅哉さんに39.5cmがヒット。終了10分前の出来事だった。釣り 場を変更という彼の読みが当たった1匹である。

優勝魚を釣り上げた鶴見黒研有志チームの赤松和則さんは、朝イチからドック先に入っている。ここで中廊下との間にある丸カンの上に遠投して47.1cmを釣り上げた。これが彼らチームに優勝をもたらす釣果となった。
彼のこの日の大会に望むにあたっての考えは「人が多かったから投げなきゃ食わない」というもの。これを実践してまだ潮位の高かった丸カンに向かって15mほど遠投して食わせている。彼はそれもハリのチモトに4Bという重めのガン玉を付けることにより、潮に流されず的確にポイントに落とし、時間をかけずに次々とポイントを撃っていくという手返しをよくする作戦をとったのである。
 47.1cmの優勝魚は、丸カンに向かって遠投し、そろそろ着底かなと思っていたところでイトフケがあり、すかさずアワセてヒットさせたものであったという。それもこの丸カンのポイントで2投目の出来事だった。
2位に入ったウメタロウの久永廣太郎さんは、青灯でひたすらヘチに落とし込 んでの釣りを実践している。1ヒロ半ほどの水深に落としたとき、フッとミチイ トの沈みが止まった瞬間に利き合わせをして仕留めたという。
彼はいつもならこの時期にカラス貝を使うというが、今年はタンクガニで通しているという。そのわけは「例年だとお盆過ぎにはカラス貝が堤防から落ちるのに、今年はまだ付いているんですよね。だから状況の違いからエサも変わるんじゃないかと考えたんです」で、タンクガニは有効なエサになると考えたのである。それも親指の爪ほどの小型のものが久永さんにとってポイントだったようだ。
3位に入った海津Bチームの小野寺雅哉さんは、この野島堤防がまさにホームグラウンド。どこにどんな隠れ根があるかも把握している。釣り場を広く知りつくしての勝利だ。彼のこの日の釣りは、沖の根周りを狙ったもの。39.5cmの釣果は、馬の背のカーブ付近で沖側に竿2本分も遠投してのヒットさせたものである。遠投したら潮の流れに乗せて落とし、ゆっくり利きアワセをするの繰り返しだ。この魚は遠投して2回目の利きアワセのときにヒットさせたものである。
選手権結果
Tag & Release 賞
 1位 鶴見黒研有志チーム(赤松和則、杉山和行)  47.1cm
 2位 ウメタロウ(久永廣太郎、梅津省吾)     42.7cm
 3位 海津Bチーム(小野寺雅哉、田中正司)    39.5cm
大物賞
 赤松和則  47.1cm